茅ヶ崎と平塚で迷っているなら、家賃や駅前の便利さと並べて、津波の想定も見ておきたいところです。海岸線に並んで見える2つの市ですが、備えの前提が違います。
茅ヶ崎と平塚の想定最大津波は、どちらも9.6mです。違うのは高さではなく、時間です。
茅ヶ崎市・平塚市の想定最大津波高さはともに9.6m。ただし最も高い津波を想定する地震が異なり、最大波の到達は茅ヶ崎が16分(相模トラフ中央モデル)、平塚が6分(元禄型関東地震と国府津-松田断層帯地震の連動)です(神奈川県・平成27年公表 ※1)。
同じ海岸線に並ぶ2つの市でも、津波の想定、駅の海抜、相模川と砂防林という地形、避難の仕組み、さらに洪水・内水のマップまで、前提は少しずつ違います。根拠はすべて国・県・両市の公式情報です。9.6mや6分という数字は、怖く見えます。でも調べる目的は怯えることではなく、住む場所を自分の目で選ぶことです。
想定最大は両市とも9.6m。違いは「どの地震か」と到達時間

神奈川県は平成27(2015)年3月に、相模トラフ沿いをはじめとする9つの地震について津波浸水予測図を公表し、そのうち5つの地震を重ね合わせて津波浸水想定図を作っています(※1)。茅ヶ崎・平塚のハザードマップは、この想定が土台です。
茅ヶ崎市の最大値は、相模トラフ沿いの海溝型地震(中央モデル)による9.6mで、最大波の到達は地震発生から16分後です。想定する地震のタイプごとに、高さと時間には幅があります(※2)。
| 想定地震(茅ヶ崎市) | 最大津波高 | 最大波の到達時間 |
|---|---|---|
| 相模トラフ海溝型(中央モデル) | 9.6m | 16分 |
| 相模トラフ海溝型(西側モデル) | 8.6m | 17分 |
| 元禄型関東地震 | 7.1m | 7分 |
| 元禄型関東地震+国府津-松田断層帯の連動 | 7.1m | 7分 |
| 慶長型地震 | 7.7m | 52分 |
平塚市の最大値は、元禄型関東地震と国府津-松田断層帯地震の連動による9.6mで、最大波は平塚海岸に6分で到達します(※3)。6分では、荷物をまとめる余裕はありません。揺れが収まったらすぐその場から歩き出す、それだけの時間です。平塚市の津波避難計画も、この到達時間を前提に「すぐに高い場所へ」を原則にしています(※3)。
同じ9.6mでも、最悪のシナリオを想定する地震が市ごとに違います。ここがハザードマップを読むときの出発点です。気をつけたいのは、茅ヶ崎の16分を持ち時間と考えないことです。最も高い津波の到達は16分後でも、元禄型関東地震なら7分で7.1mの津波が届きます。高さは最大の想定、時間は最短の想定で見ます。
駅の海抜は8m前後。高低差の少ない砂州の上にある

茅ケ崎駅周辺の海抜はおよそ7〜8m、北茅ケ崎駅はおよそ5m、平塚駅はおよそ6〜8mです(国土地理院 ※4。駅前でも地点によって差があります)。
鎌倉のように、駅から少し歩けば高台に出る地形ではありません。茅ヶ崎も平塚も、海岸から内陸へゆるやかに標高を上げていく、平らな砂州の上に市街地が広がっています。駅前の8m前後という高さは、想定9.6mに対して「安心」とも「危険」とも単純には言えません。だからこそ、浸水想定と標高は住所ごとに地図で見ておく価値があります。
物件単位で見るときは、建物がある地点の標高と、そこから高い場所までの距離をセットで見るのがおすすめです。標高は国土地理院の地図で住所ごとに調べられます(※4)。
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津波は相模川をさかのぼる

茅ヶ崎と平塚の間には相模川が流れています。河口の右岸が平塚市千石河岸、左岸が茅ヶ崎市柳島・中島で、河口から約6.6km上流の神川橋までを国の京浜河川事務所が管理しています(※5)。
津波は海岸線だけでなく、川もさかのぼります。平塚市の津波避難計画は、川をさかのぼる津波を前提に、海岸沿い・河川沿いの道路を原則として避難路にしない、河川沿いでは川から離れる方向(東西)へ避難する、という考え方を示しています(※3)。
つまり相模川沿いの低地では、「海から遠いかどうか」だけで津波リスクを測れません。茅ヶ崎側の柳島、平塚側の千石河岸や須賀のように河口に近いエリアを検討するときは、海までの距離に加えて、川までの距離も地図に重ねておきたいところです。
砂防林の役割に津波は入っていない

湘南の海岸線には、鵠沼海岸から大磯町まで、延長約11km・平均幅約80mの砂防林が続いています(神奈川県 ※6)。茅ヶ崎や平塚の海側で、浜と街のあいだに帯のように続く松林です。
この松林の公式な役割は、飛砂・強風・塩害から生活を守ることです。防風効果は樹高10m程度の林で風下200〜300mに及ぶとされています(※6)。一方で、津波を防ぐ効果は県の説明にありません。「海との間に松林があるから大丈夫」という感覚には、公式情報の裏付けがないということです。
砂防林は飛砂や塩害から暮らしを守ってくれますが、津波の想定はあくまでハザードマップの浸水域と基準水位(避難の目安になる水の高さ)で見るのが確実です。この区別をしておくと、海側エリアの見方がぶれません。
避難の仕組みは2市で違う
茅ヶ崎市は二本立てです。原則は避難対象地域の外へ逃げることで、地域外の公立小中学校8施設が津波の指定緊急避難場所になっています。間に合わない場合に備えて、地域内には津波避難ビル・津波避難地(津波一時退避場所)があり、こちらは大津波警報が発表されたときだけ使う場所と位置づけられています(※7)。
平塚市は、市・建物の所有者・自治会の3者協定で津波避難ビルを指定する方式です。新耐震基準に適合した鉄筋コンクリート造3階建て以上などの条件があり、対象はJR東海道線から南側の、県の津波浸水予測区域とその隣接区域です(※8)。
マップの新しさにも差があります。茅ヶ崎市は2025年3月24日に県から津波災害警戒区域の指定を受け、同年8月にハザードマップを全面改訂しました。新しいマップには浸水深だけでなく基準水位や、高さ30cmの津波の到達時間まで載っています(※2、※12)。平塚市の津波災害警戒区域は未指定で(※12)、津波ハザードマップは平成24(2012)年初版・平成28(2016)年度改訂版です(※13)。引っ越し先を検討する時点では、それぞれの市のサイトにある最新版が頼りになります。
川の洪水と内水は別のマップで確かめる
津波のマップには、大雨の浸水は載っていません。洪水と内水(排水が追いつかずにあふれる浸水)は、別のハザードマップで見ます。
茅ヶ崎市は、洪水・土砂災害・内水を1冊にまとめたハザードマップを令和3(2021)年度に更新しています。対象河川は相模川・小出川・千ノ川・駒寄川・目久尻川で、裏面が内水ハザードマップです(※9)。
平塚市は、相模川水系と金目川水系を対象にした洪水ハザードマップ(平成31(2019)年作成・令和4(2022)年改訂 ※10)と、1時間153mmの想定最大規模降雨に基づく内水ハザードマップ(※11)を分けて公開しています。
相模川本川の想定最大規模の降雨は流域48時間で総雨量567mm(※14)、小出川・千ノ川は1日354mm、金目川水系は1日396mmです(※15)。津波・洪水・内水の3種類を同じ住所で見比べると、その場所が水にどれだけ弱いかが、ようやく全体として見えてきます。
住む場所選びにどう使うか
ハザードマップを重ねて住む場所を絞り込む手順そのものは、湘南の津波リスクは?駅の海抜は2.8〜24.6mにまとめています。隣の市の想定は、鎌倉の津波ハザードマップ。最大14.5mの想定と、住む場所の選び方と藤沢・鵠沼のハザードマップは3枚見る。津波、川の洪水、そして内水で扱っています。読み比べると、同じ湘南でも成り立ちの違いがよく分かります。
候補の物件が決まったら、内見のときに周辺の標高と避難先までの道を実際に歩いて確かめられます。内見でその場で確認する項目は湘南の内見チェックリスト。塩害・湿気・日照はその場で確かめるに整理しています。
家賃や駅選びから考えたい場合は、茅ヶ崎の一人暮らし、海に近くても家賃相場は上がらないと平塚の一人暮らし、家賃3万円台は本当にあるが入口になります。防災と家賃は別々の記事ですが、住む場所を決めるときは並べて考えたいものです。
茅ヶ崎の一人暮らし、海に近くても家賃相場は上がらない茅ヶ崎に住みたいと思う理由は、たいてい物件情報には載っていません。
平塚の一人暮らし、物件の半分は東海大学前エリア平塚で1Kを検索すると、出てくる部屋の半分近くは東海大学前エリアです。まとめ
茅ヶ崎と平塚の津波想定は、高さだけ見ればどちらも9.6mで並びます。ただ、最大波の到達時間、相模川との位置関係、避難の制度、マップの新しさは市ごとに違いました。数字と仕組みを知ったうえで選んだ住所なら、海の近くの暮らしを落ち着いて楽しめます。
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茅ヶ崎・平塚の津波ハザードマップ
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街の雰囲気や家賃の傾向を先に知りたいなら、茅ヶ崎市の街情報ページ・平塚市の街情報ページが参考になります。
この記事の情報源
- ※1 神奈川県 津波浸水想定について(平成27年3月)
- ※2 茅ヶ崎市 津波ハザードマップ
- ※3 平塚市 津波避難計画(令和5年1月修正)
- ※4 国土地理院 地理院地図(標高データ)
- ※5 国土交通省 京浜河川事務所 相模川
- ※6 神奈川県藤沢土木事務所 砂防林
- ※7 茅ヶ崎市 避難場所(津波)
- ※8 平塚市 津波避難ビル
- ※9 茅ヶ崎市 洪水・土砂災害・内水ハザードマップ
- ※10 平塚市 洪水ハザードマップ
- ※11 平塚市 内水ハザードマップ
- ※12 神奈川県 津波災害警戒区域の指定状況
- ※13 平塚市 地震防災マップ・津波ハザードマップ
- ※14 国土交通省 京浜河川事務所 相模川水系洪水浸水想定区域図
- ※15 神奈川県 洪水浸水想定区域図


