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東京通勤を続けながら湘南に住むのは現実的か

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湘南移住を検討するとき、ほぼ必ず出てくる問いがあります。「通勤が遠くなるけど、本当に続けられるか」。結論から言えば、週3日以下の出社であれば品川まで37〜51分・月2万円前後の定期代という条件で、多くの人にとって現実的な選択肢になります。仕事を変えるわけではない。ただ、住む場所を変える。その判断を支えるために、通勤時間と混雑、コスト、そして在宅日数とのバランスを整理しておく価値があります。

ここで言う「湘南エリア」は、藤沢・辻堂・茅ヶ崎・鎌倉・平塚・逗子を指します。同じ「湘南」という言葉で括られますが、東京への通勤条件は駅によってかなり異なります。

湘南主要駅から品川・東京まで、実際の所要時間を並べる

以下はJR東海道線・横須賀線を利用した場合の目安所要時間と、6ヶ月定期の月割り定期代です(※1)。

路線 →品川(所要時間) →東京(所要時間) 定期代(月換算・6ヶ月)
藤沢 JR東海道線 約35分 約50分 約20,000円
辻堂 JR東海道線 約40分 約50分 約22,000円
茅ヶ崎 JR東海道線 約45分 約55分 約24,000円
平塚 JR東海道線 約50分 約60分 約25,000円
逗子 JR横須賀線 約45分(乗換1回) 約55分 約22,000円
鎌倉 JR横須賀線 約50分前後 約55分 約20,000円

※所要時間は平日・通常ダイヤの目安。乗り換えや待ち時間により前後します。

東海道線沿いの藤沢〜平塚と、横須賀線沿いの逗子・鎌倉で利用路線が異なります。いずれも品川まで約35〜50分・東京まで約50〜60分の範囲に収まります。「JR直通で新宿・渋谷・東京駅まで1時間以内」という実感は、数字としても裏付けられています(※2)。

興味深いのは定期代の差です。鎌倉と藤沢は品川まで同水準(約20,000円)でありながら、所要時間は鎌倉が10分以上長くなります。鎌倉を検討する場合は、コストと時間のトレードオフを意識したうえで選択する必要があります。

グリーン車について

着席を確保したい場合、東海道線にはグリーン車があります。Suica利用時の料金は50km以内の区間で750円(2024年3月改定後・IC料金)。藤沢・辻堂・茅ヶ崎から品川はいずれも50km以内に収まります。ただし、グリーン車は着席を保証するものではなく、混雑時に立席になるケースもあります。週3日・片道のみグリーン車を利用した場合、月換算で約9,000円のコスト増になります。

また、JR東日本のオフピーク定期券を利用すると、通常定期より月4,000〜5,000円程度安くなります(※8)。混雑を避けつつコストを抑えたい場合の選択肢として存在します。

混雑率とドア・ツー・ドアの実態

東海道線の混雑率は、国土交通省の令和6年度調査で154%です(最混雑区間:川崎→品川、7:41〜8:41)(※3)。JR中央線快速が161%(中野→新宿)、JR埼京線が163%(板橋→池袋)で、東京圏全体の平均は139%。東海道線は、都内主要路線と比べると相対的に低い水準にあります。

中央線や埼京線沿いから湘南に移住した人の複数のブログ記録・インタビューによれば、東海道線に乗り換えた場合も混雑の体感はさほど変わらないという声が確認されています。「しんどい」という感覚は混雑そのものではなく、電車を降りてからの距離と、往復で費やす総時間として現れやすいというのが実態です。

通勤日が週5日続く場合の負担感は、週3日以下の場合と質的に異なります。ドア・ツー・ドアの時間が積み上がるほど、その差は大きくなります。藤沢・辻堂エリアから都内へ25年通勤してきた移住者の記録では、自宅から会社まで合計70分(自宅→駅15分・電車45分・駅→会社10分)としています(※4)。電車の所要時間だけでなく、前後の移動を含めて見積もっておくことが現実的な判断につながります。

週何日出社するか——通勤日数が住まい選びの前提を変える

通勤負担をどう見るかは、週に何日出社するかによって大きく変わります。

国土交通省「令和6年度テレワーク人口実態調査」(※5)によると、首都圏の雇用型就業者のテレワーク実施率は約40%、テレワーカーの週平均実施日数は2.1日です。週5日勤務に照らすと、週3日出社・2日在宅がひとつの標準像として浮かびます。

毎日通勤することを前提にした住まい選びが、すでに多くの人にとって現実に合っていないことを、この数字は示しています。週3日の出社なら、月間の通勤回数は週5日フル出社の場合と比べて4割程度減る計算になります。

一方で、Job総研「2025年出社に関する実態調査」(※6)では、出社に後ろ向きな理由の第1位が「通勤に時間がかかる」で74.8%に上ります。テレワークに慣れた後に出社頻度が増えた場合、負担感が跳ね上がりやすいことは複数の調査が示しています。「低頻度だが長距離通勤」という構造が通勤ストレスを底上げする点には注意が必要です(※7)。

湘南からの通勤を設計するうえで確認しておきたいのは、「今の出社頻度が今後も続くか」という点です。週3日在宅が保証されているのか、会社の方針次第で変わりうるのかによって、通勤距離のリスク評価は変わります。

在宅の日がもたらす、時間の密度の変化

週2〜3日の在宅勤務がある人にとって、湘南という居住地は「出社日を耐える場所」ではなく「在宅日を活かす場所」として機能しやすい構造を持っています。

都内への通勤がない日には、往復の移動時間が手元に戻ります。海まで徒歩・自転車で20〜30分という距離は、「出かける気になれば実行できる選択肢」として日常の余白を形成します。観光地として行く海ではなく、散歩や気分転換の延長として使える距離に海があること——その違いは、住み始めてから毎日の暮らしのなかに定着していくものです。

在宅の日が増えることで、街の個店や商店街との接点も変わります。辻堂移住者の記録では、移住後1ヶ月間、パートナーは一度も電車に乗らず辻堂内だけで生活が完結したとしています(※2)。通勤する本人よりも、在宅・地元中心の生活を送るパートナーにとって、街の生活圏の質が直接的な満足度に結びつきやすい面があります。

通勤する人・しない人が同居するとき、街選びの軸が変わる

夫婦・カップルで一方が都内通勤、もう一方が在宅中心という構成では、街選びの優先軸が二人でずれやすくなります。通勤する側は駅近・路線の利便性、在宅側はスーパーや個店の徒歩圏・海や公園への出やすさ——それぞれが日常の満足度を左右するからです。

  • 藤沢: 駅前完結度が高く、通勤する側には安心感があります。在宅側にとっても買い物動線は強い。
  • 辻堂: テラスモール湘南を中心に在宅側の生活動線も整いやすく、二軸のバランスが取りやすい傾向があります。
  • 茅ヶ崎: 在宅・地元生活を重視する側に強みがありますが、通勤する側の所要時間も含めて許容できるかを事前に確認しておく必要があります。
  • 平塚: 東海道線で都内方面・小田原方面の双方向に対応しやすく、夫婦それぞれが異なる方向に通勤する場合に路線の柔軟性があります。
  • 鎌倉: 観光地のイメージが強い一方、住環境は落ち着いており在宅側の満足度が高い傾向があります。通勤する側は横須賀線直通で品川まで約50分という条件を許容できるかが判断基準になります。

「仕事を変えずに暮らしを変える」人に向く湘南エリアとは

通勤条件を軸に各駅を比較すると、東京・品川方面への所要時間に大きな差はありませんが、生活設計に影響する細かな違いがあります。

  • 始発駅の有無: 辻堂・茅ヶ崎・平塚は東海道線上り方面への始発設定があります。逗子は横須賀線の始発駅です。着席しやすいかどうかは、長距離通勤の継続可能性に地味に効いてきます。
  • 通勤頻度と駅距離のバランス: 週5日フル出社が前提なら、品川まで最短37分・駅前完結度の高い藤沢が候補として浮上しやすい。週3日以下の出社なら、茅ヶ崎・逗子・鎌倉など海との距離感や街の個性を優先しやすくなります。
  • 路線の違いを意識する: 東海道線(藤沢・辻堂・茅ヶ崎・平塚)と横須賀線(逗子・鎌倉)では、品川以遠の都内ターミナルへのアクセスルートが異なります。勤務地が新宿・渋谷方面か、東京・横浜方面かによって使い勝手が変わるため、実際の通勤経路で確認しておくことを推奨します。
  • グリーン車コストの見積もり: 週3日・片道のみの利用で月約9,000円。年間では10万円超のコスト増になるため、通勤費として会社が負担するかどうかを確認しておくと判断がしやすくなります。

通勤費の会社支給範囲・グリーン車の補助有無は勤務先によって異なります。移住前に就業規則や人事に確認しておくことを推奨します。

おわりに

「通勤が遠くなる」という事実は変わりません。ただ、働く日数と在宅日のバランスが変化したいま、通勤距離の重さは一律ではなくなっています。週3日出社・2日在宅が標準に近づきつつある現在、湘南からの通勤を現実的な選択肢として検討できる人の層は広がっています。

判断を具体化するには、候補の駅から出社時間帯に実際に乗車し、ドア・ツー・ドアの時間と混雑の体感を確認してみることが最初のステップです。その体感を経てから物件探しの範囲を絞っていく順序が、後悔の少ない移住設計につながります。藤沢・辻堂・茅ヶ崎・平塚・逗子・鎌倉、いずれのエリアでも、通勤条件と暮らしの両面を比較しながら物件を探せます。


参考文献

  • ※1 駅探「乗り換え案内・時刻表」 https://ekitan.com/
  • ※2 イーアイデム ジモコロ「湘南の『辻堂』に移住したら、便利さと自然のバランス抜群で夫婦がもっと仲良くなった」(2023年1月12日) https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/dango62
  • ※3 国土交通省「三大都市圏の平均混雑率が増加 ~都市鉄道の混雑率調査結果を公表(令和6年度実績)~」 https://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo04_hh_000138.html
  • ※4 shonan-sampo.net「湘南の藤沢・辻堂から都内に25年も通勤する移住者が紹介!必ず座る方法」(2022年) https://shonan-sampo.net/shonan-tuukin/
  • ※5 国土交通省「令和6年度 テレワーク人口実態調査」(2025年3月) https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi03_hh_000165.html
  • ※6 Job総研「2025年 出社に関する実態調査」(2025年1月27日) https://jobsoken.jp/info/20250127/
  • ※7 ザイマックス不動産総合研究所「コロナ禍で変化した『通勤』を読み解く」(2024年3月21日) https://soken.xymax.co.jp/2024/03/21/2403-changes_in_workers_commutting
  • ※8 JR東日本「オフピーク定期券発売中!」 https://www.jreast.co.jp/offpeak_teiki/
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